水とりぞうさんの悲劇 by M・A子
5〜6年前に、乾燥剤を交換しようと思いつきました。
ピアノの乾燥剤は高いなぁ・・・そこで、ふと思いついて
家庭用の押し入れなどに使うプラスチックの三角の容器に入った
(よく3つセットで198円とかで売られています)乾燥剤を買いました。
「私はなんて賢いんだろう。3000円以上もかかるピアノ専用乾燥剤に比べて
これはたったの198円! 消費者は賢くなきゃ」
なんて思いながらガムテープでピアノの中
(上の蓋を開けて、前面の板側 アクションの上)に自分で止めて2つ設置しました。 その状態で時は流れて行きました。
ある日、押し入れに置いてあるのと一緒に、ピアノの水とりぞうさんもそろそろを交換しようかな、
と、ピアノの上蓋を開けてみて、硬直しました。
知らないうちにガムテープが片方取れていたようで、
容器の中の水分が全て流れ出て、とんでもないことになっていました・・・。
乾燥剤は取り出して捨てましたが、大変なことをしてしまったと怖くなって、
どうしたらいいのかわからず、結局放置していました。
引っ越して、4年前に消音装置を取りつけてもらう時に弦を見たら、
ダーッとほぼ全体にナナメに青緑色に変色してしまっていました(涙)
えーーっ!これは一体・・!?あぁ、もしかしてあの水とりぞうさんの・・・???
消音装置の技術者さんに、水とりぞうさんの話しをしましたが、
技術者さんは、「いじったら胞子が飛んで、余計広がるからいじらないで下さいね」
とおっしゃいましたが、胞子って・・これはカビなのでしょうか?
カビというより、サビているような気がします。
弦を張り替えた方がいいですか?とお聞きすると、
弦を交換するのはとてもお金がかかりますよ、とのお返事でした。
せめて調律していただけるかなと思いましたが、その時は調律のお話はありませんでした。
恐ろしくて、しばらく調律して頂いていませんし、生音では全く弾いていません。
一体私はどうしたらいいのか・・・・
いろいろなピアノのホームページを見ていて、ぴあの屋ドットコムのまーちゃんの記事を見つけました。
そこには水とりぞうさんのことについてこのように書かれていました。
「ピアノ専用ではなく、水とりぞうさんなどの、水(実は塩水です)の溜まる
市販乾燥剤を間違って入れておられる場合は、悲惨な状況になりますのでご注意ください。」
ううーん、まさに家のピアノの状態はこのことだわ」
そこで、まーちゃんにメールを打つことにしました。
折角、当時高いお金を出して両親に買ってもらったのに、本当に、かわいそうなピアノです。
ピアノ講師をしているのですが、自分のしたことが怖くて誰にも相談できません。
出入りしている営業さんにはグランドを買いなさいと何度も言われています。
まずは、こんな状態でも、なんとかなるものでしょうか?
それから、なんとかなるのであれば、おいくらくらいかかりますでしょうか?
日にちはどれくらいかかりますでしょうか?
勇気を出してお伺いします・・。どうぞよろしくお願いします。
早速まーちゃんからお返事がありました。
初めまして。勇気をもって(笑)、メールありがとうございます。
せっかく高いピアノをご両親にかってもらったんですから、なんとかしないとね(笑)。
水とりぞうさんのお話、とっても笑ってちゃいました。ゴメンナサイ。
フタをあけた時の、唖然とした○○さんの姿がうかんできたものですから。
○○さんにとっては笑ってる場合ではないですね。
全国の「水とりぞうさんを入れている方々」のためにもこの悲劇について
是非「あなたのピアノ体験記」に書いてくださいね。
まずはお伺いして今の状態をなんとかしましょう。
そして私はこのようにお返事をだしました。
笑っていただけた方が、まだ救われます。
水とりぞうさんが悪いのではなく、あれはあくまで押し入れ用で、
湿度調整剤のお金をケチって、水とりぞうさんをピアノに使うととんでもない結果になる
というものですね。
わたしの他にも、水とりぞうさん入れてらっしゃる方、いらっしゃるのでしょうか?
もしおられたら、速攻処分するよう、まーちゃんから呼びかけてあげてください(笑)
必要になりますよね?
ものすごい金額です。
「湿度調整剤」=4000円ほど。「水とりぞうさん」=198円!
果たして、「水とりぞうさん」の勝ちでしょうか?
とんでもなかったです。('_`)ウゥ
これをケチったのが間違いの始まりでしたね。(遠い目)
ついにまーちゃんが我が家にやってきました。
イメージとおりの方でした。
水とりぞうさんの件も「これなら大丈夫大丈夫」と見ていただき
私は調律の作業をかぶりつきで見ていました。
子供のときから調律を見るのは好きで、ずっと体育すわりで見ていた記憶があります。
調律が高音に行ったくらいで、私は勇気をだして言いました。
「まーちゃん、私も調律したい!」
まーちゃんは快くハンマーを持たせてくれました。
子供のときから一度やってみたかったのですが、勇気がなく今まで言えなかったのです。
でもまーちゃんは気さくにお話してくれるのでとってもいいやすく、ついに念願の調律!
チューニングハンマーを持って左手で音を叩きながら、ハンマーを回す作業。
うーん、結構堅いのね。
なかなか回らず音が上がって行きません。
まーちゃんが少し手を添えてくれてなんとか音が上がりはじめました。
ぴったり合ったところで回転を止めます。
けっこう難しかったかど面白かったです。
次にまーちゃんは、ハンマーの音色のばらつきを治すため、ファイリングという作業に入りました。
羊の毛でできたハンマーフェルトの表面を少し削り、形を整えます。
「まーちゃん、これもしたーい!」
まーちゃんはこれも気持ちよくさせてくれました。
ただ、、このあとの針刺し(音色を柔らかくする作業)はキケンなためさせてもらうことは
できませんでした
そして、ピアノは見違えるほど、キレイな音に変身していきました。
乾燥剤も新しいものに入れ替えてもらってもう安心です。
もう乾燥剤はケチりません・・・。
ねっ、まーちゃん。