良い調律師の定義とは?★(2005年3月8日)
今から書くことは相当変なことですから、信用しなくてもいいですよ。
私は普通の視点から見てませんので、実は変な調律師かもしれません。
良い調律師の定義を答えよ、という試験問題があったとすると、下記のようなのがたぶん模範解答でしょう。
良い調律師とは
○ピアノの音を合わせるのがうまい人
○ピアノの故障修理がすばやくできる人
○タッチや音色を自由に操れる人
もちろん上記の答えは正解です。
でも私は違った答えを持っています。
調律師とは“喜ばれる存在”であることが一番大切であると思っています。
メーカーの調律師をしているときに、こんなことを聞いたことがあります。
調律の依頼があって訪問したとき、奥様がこんなことをおっしゃいました。
「以前、先生の紹介ですごい腕のいい調律師さんが来てくれました。でももういらない。
調律しているときに子供がちょっと騒いだんです。
そのとき、その調律師さんは、静かにして! と怒鳴ったんです。
いい調律をしたいから、とあとで言ってました。
調律師さんがいい仕事をするというのは当たり前ですが、
そのレベルは私たちには分からないし、その高いとこを目指すのはその調律師さんの自己満足で、
お客さんから喜ばれないのであれば、他の人は知らないけど、私はいりません」。
その話を聞いてから私は変わりました。当然やるべきことは全部やりますが、
その作業スピードアップに努めて、お客さんとのコミュニケーションに多くの時間を割くようになりました。
今までいろいろな調律師を見てきて思ったんですね。
こんなことばかりをいう調律師がいます。
○このピアノはココが悪いからダメだ
○あの技術者はこんな作業しかしてない
○調律毎年しないといけないのに、お客さんはちっとも分かっていない。ついに調律を断ってきた・・・
などど、物事の悪い面ばかりをみて、愚痴や文句ばかり言っている調律師。
でも捕らえ方をかえれば、こうとれるんですね。
○どんなピアノでも(それがスタンウェイであっても)100%完全なピアノなんてありえないし、このピアノは
こんな素晴らしいところがある(ピアノの良い面を見ようとする)
○あの技術者はこの部分の作業は結構うまいなぁ。(相手の良い面を見ようとする)
でも悪い面は我が振りなおす教訓とさせてもらおう。
○お客さんが断ってくるには、私に魅力がないからだ。もっと魂磨いて、喜ばれる仕事をしよう。
つまり、分かりやすくいうと、
物事をすべて肯定的にとることのできる調律師が良い調律師
だということです。
お客さんが大事にしているピアノの、良い部分を見つけてそれをお客さんに言ってあげると、喜ばれます。
大メーカーピアノの批判ばかりする調律師もいますが、良いところの方がずっとたくさんありますからね。
ましてや、そんな大メーカーが日本にあったおかげで、今仕事ができるんですから。
いつも私はピアノを弾いては、「ピアノっていいなぁ〜」って感動してます。
いつも嬉しくって、ニコニコしてます。毎日ピアノを触れる仕事って幸せですよ〜。
お客さんも「好きなことを仕事にできるっていいね。幸せですね」といってくれます。
そんな幸せな仕事ができる調律師は、やっぱり笑顔でなきゃいけないと思いますよ。
笑顔で、いつもプラスの言葉をしゃべる調律師。訪問して喜ばれる調律師。
ピアノも道具ですから、治さなくてはいけない部品も出てくるでしょう。
しかめっ面をして低い声で、「ココがもうダメですねぇ。修理代は高くつきますよ」としゃべるよりも、
「よく練習されましたらから見事に消耗して来ましたね。楽器は使うほどよく鳴ってきますからね。
ここを新しく修理したらきっとピアノは喜びますヨ〜。きっとさらにいい音だしてくれます。」
と明るく言われたらどうですか。
これなんですね。喜ばれる人は喜ばれるはなし方をします。また来年も来てね、と言われます。
良い調律師は、腕がいいだけではダメ。来年も絶対にまた来てね、といってもらえる調律師なんですね。
私もそんな調律師になれるように、がんばってます・・・。
本気で調律師になりたい方は、下記のページに調律師の平均年収など、もっと詳しく書かれていますよ。
一度ご覧になればいいと思います。↓
http://www.geocities.jp/pf_daisuki/tuner.html (調律師になるには?)
私と社員が卒業した調律師養成学校を撮影してきました。8月号の動画をご覧ください。↓
http://www.pianoya.com/netvideo/netvideo.htm (カワイピアノテクニカルセンター)