大人であること、それ自体が夢を生きてる、
私たちに気づきを与えるお話です。
小児癌病棟に、一人の男の子がいました。
しゅん君という名前でした。
彼の脳腫瘍は、手術できない、
そういう種類の病状でした。
でも彼はいつも看病してくれる人たちに
明るく振舞っていました。
病状が進んだある日、
彼は斜視になっていました。
それを気づかせないように、
お母さんや看護師さんは、必死に鏡を隠しました。
夜になると、窓が鏡の代わりになるので、
慌ててカーテンを閉めました。
ある日、そんな事情を知らない
一人の新米の看護師さんがやってきました。
彼女の胸ポケットに、
手鏡があることに気づいたしゅん君は、
「その鏡を貸して」
そして彼は、以前とは変わってしまった
自分の顔を見て、泣くこともなくひと言、
「僕が鏡で顔を見たこと、お母さんには黙っててね。
きっとお母さん、悲しむから」
そんな心優しいしゅん君が一度だけ、
わがままを言いました
亡くなる2日前
しゅん君のただ一度の「わがままな」言葉
「僕は大人になりたいよ」
そう周りの人に訴え、
でも周りの人が慌てて、
「何言ってるの、なれるに決まってる」
その姿を見て
しゅん君は、そんな大人たちの姿を見て、
口をつぐんだのです。
彼の夢は「大人になること」
大人の私たちは、今、彼が夢見て果たせなかった、
そんな「夢の時」を生きています。
仕事が無くて死にたい。
そんな状態だったとしても、
彼が生きていたら、きっと笑って「大丈夫」
って思ったでしょう。
失恋して死にたい。
そんな状況でも、彼だったら、
その失恋を笑ってやり過ごしたでしょう。
彼の夢は「大人になること」
それが叶っていたのだから、
私たち大人は、今、「夢の時」を生きています。
だから辛いときも、笑って、
「夢の時」を生きていきたい。