手を離しても音が伸びるペダルって、右のペダルですね。
ペダルを踏むと、天秤棒をてこの原理で動かし、
突き上げ棒を持ち上げて、ダンパーという弦を押さえる部品を、
弦から離す働きをする装置です。
この写真のピアノは、踏んでも踏んでも、ダンパーが上がらず、
みんなで原因がわからず頭を抱えていました。。。
そしてついにそれが分かりました☆
天秤棒が古いタイプ(木製)でできていて、
それがペダルを踏んでもその木がしなってしまい、
突き上げ棒にエネルギーが伝わらないのです。
そこで、木を取り換えればいいのですが、
できればオリジナル部品を生かしたいと考えた結果が上の写真です。
天秤棒にアルミのパイプをネジでしっかりとめて、
木がしならないようにしたのです。
バッチリOKでした。
これで大丈夫。
あと30年は十分に働いてくれるでしょう。
ちなみに、現在のピアノは下記の写真のように、
鉄のパイプになっています。
よく、「このピアノは全部 ”木” でできているから高級品です」というセールストークを聞いたことが
あるかもしれませんが、
このように、車でいうとシャフトのような部分にまで木にこだわることはありません。
音に影響のない部品は、耐久力のある非木材でも全然問題ないということですね。
カワイはものすごい早い動きとエネルギーがかかるアクションの部分、(車でいうとエンジンの部分)には
昔はABS樹脂、現在は高級品にカーボン樹脂を使っています。
これも耐久性を増すために使っている部品です。
絶対に木でないといけないという常識は、今は常識ではないと思ってくださいね。
調律師は毎日が工夫の連続です。
面白い仕事ですよ。
調律師になりたい人、いませんか?
☆まーちゃん☆