エンシュウピアノの内部についてご説明します。
フレームにあるトレードマークには漢字で「遠州楽器制作」と縦に書かれています。
その下の部分は、製造番号ではなく「MADE IN JAPAN」と書かれています。
特に輸出をメインにスタートしたことも、あるのでしょうか。
「日本製ピアノ」を強調しているのがなんか面白いですね。
それくらい世界ではめいーどインジャパンの信頼度は高く、
とくにピアノの世界では、メードイン浜松であることの意味は大きいです。
ハンマーは、人気のドイツ製FFWハンマーを採用しています。
アクションの部品関係は、通常のピアノを変わらないのですが、その設計に独自のこだわりがあると聞いています。
実際に弾いてみると、タッチはとてもスムーズ。
軽いというわけではないのですが、とにかく心地いいタッチ。
弾きやすいんですね。
コントロールしやすいという言い方がいいと思います。
遠州楽器さんに、数人のピアニストが来て試弾したそうなのですが、
みなさん口をそろえて言うのが、
「アップライトピアノのいままでのイメージと違うね」
「タッチ感がグランドピアノみたいですね」
という感想があるそうです。
私はその弾き方はできませんが、同じ音を連続打鍵したときにも音が出やすいようです。
アップライトピアノですから、基本グランドとは構造が全く違うのですが、
アフタータッチがあるわけないのに、ゆっくり鍵盤を押さえたときに、
コツっというタッチ感が再現されています。
これはジャックという部品が抜けるグランドピアノ特有の感触なのですが、
これがあるんです。
これは超不思議。
なにか秘密があるのかもしれません(現時点ではまったくわからず)。
その構造が理由なのかどうかもわかりませんが、
ピアニシモが特にきれいに出せるピアノだな、という印象があります。
通常のアップライトピアノでは、超弱音のピアニシモがちゃんと音が鳴ってくれない時があるのですが、
このエンシュウピアノでは、きれいに音を出してくれます。
整調のやり方で、通常のピアノでもそれは大丈夫なのですが、
エンシュウピアノではそれが、とくに美しいなぁと感じました。
下前板をあけてみると、天秤棒と突き上げ棒は木材で作られていました。
音を響かせる部品ではないので、別に鉄のパイプでもいいのですが木材を採用していました。
アクションの整調も従来のピアノとは少し違うようです。
レットオフというハンマーが弦に接近する寸法も従来とは違っています。
そのほか、部品調整が微妙に違うところがあって、
これからぴあの屋ドットコムで全国にピアノを販売していくことになりますから、
その地域の担当調律師には、きちんとお伝えしていきたいと思います。
いずれにしても、調律師にとっては興味深々の内容だと思います。
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