心の窓」カテゴリーアーカイブ

心の窓メルマガ版 34 「形見」

形見

皆様ご存じのように、私はピアノの調律師です。

ピアノ製造メーカーの社員から独立して13年目になりますが、現在では社員やパートの調律師6人と共に、ピアノの調律や修理・買取・販売などをしております。

最近では、インターネットを使って全国規模でピアノの買い取りや販売をしていますが、「ジャパネットイシヤマ」と冗談でいわれるほど、インターネット動画を使ったビジネス展開が大当たりしています。どんな仕事でも、結局はその人物を分かってもらわないとなかなかうまくいかないものですからね。

そんな展開を始めて全国の方々にご縁がつながり始めていますが、最近愛知県からグランドピアノを買取したお客さんからこんなメールをいただきました。ご了解をいただきましたので、ご紹介させていただきたいと思います。

「この度は、ピアノを買い取っていただきありがとうございました。他の業者様で、高く査定された値段からだんだんと下げられたこともあり、ピアノを売ることに不安もありましたが、石山さんのメールで、蟹江にお住まいだったという部分を拝見して、何だか安心してお願いしてみました。料金も、こんなにも早く振り込んでいただけて、本当に安心いたしました。

このグランドピアノは、半年前に亡くなった母が私の為にと買ってくれたものなのですが、事情があり、残念ながら手放さざるを得なくなってしまいました。大切に扱ってくださる所にお願いしてよかったです。

ピアノを買い取っていただいたお金は、来年早々に結婚する時の為の結婚指輪にするつもりです。いつも身に付けてられるので、母の思い出のピアノ=指輪となり、いつも母がそばについていてくれるような気持ちになれそうです。ありがとうございました。だんだんと寒くなる時節柄、お身体には十分ご自愛なさってください。」

このメールを読んで、私は胸がジーンと熱くなりました。
亡くなったお母さんの形見、でもそれをそばに置いておくことができない。そんな時、このような形で、物は変わってもその思いを別のものに変えて身につけておくという気持ち。特に、ピアノが結婚指輪に変わるなんて素晴らしいなと思いました。

買い取ったピアノはきちんと整備をして、きっとまた大切に使ってくださる方へリレーをしていきたいと思います。

どんなビジネスでも、やはり人の心を一番大切にしながらやっていかないといけませんね。以前、心の窓7号で書いた「ディズニーランドのお子様ランチ」や24号「人であふれた駐車場」など、相手の立場で物事を考え、行動できる人になれるよう、さらに魂を磨いていきたいと思います。

ぴあの屋ドットコム 石山

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心の窓メルマガ版 33 「お好み焼きの具」

お好み焼きの具

ある小学校の参観日。先生が言いました。

「今日はお好み焼きの絵を描きます。その中で使う具にどんなものがあるか、みんなであげてみましょう。どんなものが、お好み焼きの中にあるかな?」

みんな、「ハーイ! ハーイ!」と手を挙げて言いました。

ある子どもが、家でお好み焼きを作った時には使ったことはないけど、あるお店に行ったら”チーズとお餅”も具にあったので、「先生! チーズとお餅!」と言いました。

すると先生は、「うーん・・・、チーズとお餅かぁ。それは変だなぁ・・・。ほかにっ!」と、他の子に、また手を挙げさせました。

その時、いままでハイ!ハイ!と楽しそうに手を挙げていた教室の空気が一変しました。そして、すごく楽しそうに手を挙げていた空気から、今度は「いかに先生に気に入られるか」、というような答えになってしまいました。

そして、そのあと書いた絵が、全部同じようなものになってしまいました。だれ一人、個性的な絵を描いた子はいませんでした。

参観が終わったあと、個人懇談会がありました。
その子どもの母親がこう先生に言いました。

「先生、実はあの時、教室の空気が変わりましたね。そして児童はみんな、先生に気に入られる絵になってしまいましたね。実際に手を挙げて、”チーズとお餅!”といった子は、ウソをついたのではなく、本当にお店に行って、チーズとお餅を入れて食べたんです。だから、手を挙げて”チーズとお餅と言いました。

それを、「それは変だなぁ・・・」といって、「他に」と言った瞬間、もうその子は手を挙げなくなってしまいました。先生に気に入った答えしか採用してもらえないと思ったんです。それって、子どもの芽を摘み取っていませんか?

“そういうこともあるよね、それは面白いよね“と言って欲しかったと思いますよ。」

それを聞いた先生は、しばらくの沈黙のあと、ポロポロと涙を流してこういいました。

「そういう教師にだけはなりたくない。子どもの創造性や方向性を摘み取らないで、伸び伸びと子どもを育てて上げたいために、威張っている先生ではなくて、子どもの能力を伸ばしたいという、そういう夢と希望を持って、教師になったはずなのに、それがいつの間にか、私の中で失われていました・・・。今日は、このことに気付かせてくださってありがとうございました・・・」と深々と頭をさげられました。

この話は、私の知り合いの女性が実際に体験した実話です。ご本人の了解をいただきましたので、ここに紹介させていただきました。

「氷が溶けたら何になる?」
「春になる」

こういう自由な発想を「それは違うなぁ」ではなく、「それは面白い!」と認めることで子どもの能力はどんどん伸びていくのかもしれませんね。

そして視点を変えると、面白いものが見えてきますね。
みなさん、あのスーパーマンはなぜあんなにピチピチの服を着ているか知っていましたか?

よーく見て下さい。なんとスーパーマンの服はSサイズだったのです。胸にでかでかと「S」と書いてあるでしょ?

ぴあの屋ドットコム 石山


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心の窓メルマガ版 32 「日本語」

日本語

「虫のしつけが行き届かず、ご迷惑をおかけする事があるかもしれませんが、どうかお許しくださいませ。虫たちが出ましたら、すぐにフロントにご連絡くださいませ」

これは山の中のある温泉宿の客室に、さりげなく置いてある札にかいてあるものです。そこに宿泊した人たちは、きっと一瞬心がなごむのではないでしょうか。

その宿に宿泊された方から聞いてさらに笑ったのは、露天風呂の壁の札にこう書いてあったそうです。

「虫たちがお風呂に入りにまいります。湯あたりしていましたら、恐れ入りますが救援用のアミで救ってあげてください」とその下に、虫取り用のアミが壁にかけてあったそうです。

露天風呂に飛んできた虫が浮いていても、こう書いてあったらきっとアミですくって(救って)あげよう、と思うでしょうね。

最近はトイレによく「きれいにつかっていただいてありがとうございます」と書いてありますね。
いままでは、汚さないで!とか、書いてあるのが普通でしたが、先に「ありがとう」とお礼を言われてしまいましたら、ちゃんとやらないと、と思うのでしょう。

このように書くようになってから、断然トイレがきれいになったそうですよ。外国語にはない、このような美しい日本語の言い回しは素晴らしいですね。

ある公衆トイレの個室に入ったとき、こんな落書きを見つけました。

「よぉ来たな。まあ座れや」

言われなくても、座りますけどね。

ぴあの屋ドットコム 石山


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心の窓メルマガ版 31 「55年目のゴール」

55年目のゴール

金栗四三(かなぐりしぞう 明治24年生まれ 熊本出身 父43歳のときに生まれたことから四三と名づけられる)。日本のマラソンの父と言われる人です。

ストックホルムオリンピックの前年の予選会で、なんと世界記録を27分も縮める大記録を出し、日本初のオリンピック選手として出場できることになりましたが、日本からストックホルムまでの当時の渡航費が、今のお金にして500万円ほど。そんな大金はどこにもありません。一人で悩んでいたところ、兄が「田畑を売ればなんとかなる」と援助をしてくれ、出場することができました。

ところが、スェーデンまでの20日間もの旅と、日本で経験したことのない白夜で、レース前日には一睡もできませんでした。さらに、当日は迎えの車が来ず、会場まで走っていったのです。今では考えられない状態です。
さらに40度もの猛暑になり、ついにレース中に意識を失い近くの農家で介抱してもらいましたが、目を覚ましたのは翌日の朝でした。
非常に過酷な条件でのレースで、出場した68名中、半数は棄権しそのうちの一人は翌日亡くなっています。

国家の威信をかけた日本からオリンピックへの初出場であり、また田畑を売ってまで出場させてくれた兄の気持ちを思うと、死んでお詫びをせねば、とまで思ったかもしれません。

しかしその後、ストックホルムでの敗因を分析し、真夏の耐熱練習や心肺機能の向上のために富士登山などの高地でのトレーニング、そして箱根駅伝の発案など、いろいろな試みが金栗四三のアイディアが現在に生かされています。

昭和42年、金栗四三氏75歳のとき、1通の招待状が届きました。ストックホルムのオリンピック委員会からです。
「金栗四三氏のゴールを要請する」というものでした。

ストックホルムオリンピックの記録では「金栗氏は競技中に失踪し行方不明」みられていました。つまり、棄権もゴールもしていないという状態だったのです。これに委員会が気いて、金栗をゴールさせることにしたのです。

そして要請を受けた金栗氏は、ストックホルムの競技場を走りました。そして場内アナウンス。

「日本の金栗、ただいまゴールイン。タイム、54年と8ヶ月と6日 5時間32分20秒3、これをもって第5回ストックホルムオリンピック大会の全日程を終了する」。

世界一のスピードを持った男の、世界で最も遅いマラソン記録でした。
金栗氏はゴール後のスピーチで「長い道のりでした。この間に孫が5人できました」とコメントしています。

金栗四三氏 昭和59年 93歳で永眠。日本には素晴しい人生を生きた人が、まだまだたくさんいますね。

ぴあの屋ドットコム 石山


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心の窓メルマガ版 30 「理念」

理念

だいぶ以前ですが、友人からある文章のコピーが送られてきました。今、飛騨牛やうなぎの表示偽装などの社会問題が続出していますが、その原因は会社の経営者の理念がすべてであると思います。そんなことを考えながらお読み下さい。

『社長の想念を実行する社員を育てる』
どんなに商品が優れていても、社長の想念が社員に伝わっていなければ、売れない。
社長になり代わって、社員が店頭に立ち、得意先を訪問し、販売促進をやって、売上を稼いでいることを忘れないで欲しい。社長の想念を体した、熱意溢れる社員を一人でも多く育てることが、本当に強い会社を築く要諦である。

私が感じ入った会社の一つに叶匠寿庵がある。創業者は、39歳の時に人生を見つめ直し、長年勤めた地方公務員の職を、後わずか三カ月で恩給がつく、という直前に辞め、素人の身一つで和菓子店を起こした。

初めは、饅頭を作って箱に詰め、肩に下げ、観光バスの窓に向かって売り歩いた。その地を這うような苦労から、人情の機微も、商売の酸いも甘いも、人たる者の夢や使命も、知り尽くした人である。惜しいことに、亡くなられて十年ほどになる。

創業者は、社長の心を心とし、お客様の喜びを喜びとして、どんな苦労にもめげない社員を育てることに命を捧げた。

ある時、こんなことがあった。お菓子を買われたお客様が、代金を払うと、お菓子を置き忘れて、そそくさと帰られてしまった。気づいた女子社員が急いで後を追ったが、見あたらない。

機転をきかした彼女は、独りでタクシーに乗り、京都駅に駆けつけた。店でのやり取りから、東京の人で、何時の新幹線に乗るか分かっていたからである。発車のベルが鳴り止む寸前、間一髪で新幹線に飛び乗ることが出来た。

長い長い列車を捜し回り、お客様を見つけたのは、もうすぐ名古屋という辺りだった。お客様は、驚くやら、感激するやで、何度も何度もお辞儀を繰り返し、握手を求め、全身で感謝を現された。

疲れた乗客が多く、殺伐とした車内で、その一角だけがパッと光が射したように輝いて見えたという。お客様が、「きみは、これからどうするんだ」と、目頭を熱くして尋ねた。

「お会いできて、本当に嬉しかったです。ちょうど名古屋ですので、京都に引き返させていただきます」と、笑顔を残して辞去すると、列車が見えなくなるまで手を振って見送った。

この女子社員は、社長の命令で、そうしたわけではない。自分の機転と判断で、わずか数千円のお菓子を持って、新幹線に飛び乗ったのである。お金では替えられない叶匠寿庵の心が、お菓子に込められていたからである。

社長がこのことを知ったのは、彼女からの報告からではない。お客様が雑誌に書かれて、それを送ってくださったからである。

社員が良く育っていないと、社長の想いはなかなか実行されない。苦労人の社長は、和菓子だけを売っているのではなく、商いの道とか心、哲学とかお客様の喜び、そういったものを命懸けで守ってきたわけである。だから、社長の想いが骨身にしみて社員に伝わり、実行されたのだ。社員が良いと、伝説が生まれる。

社長は亡くなられたが、その遺伝子が社員の血の中に脈々と流れ続けていることを願って止まない。社長の想念を体し、機転をきかして実行する社員こそ素晴らしい。

以上、どなたの文章か分かりませんが、いいお話なので掲載させていただきました。
私の会社でも、常に「ありがとうと言われる調律師になれ」と社員に言っています。そして、社員が喜びを持って仕事をし、会社もきちんと利益を上げ、もちろんお客様もここに頼んでよかった、と思ってもらえる、「3方すべてがよし」という形をとり続けていきたいと思っています。

ぴあの屋ドットコム 石山


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