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[重要]8月のピアノお届け運送便についてのご案内

いつもぴあの屋ドットコムをご覧いただきましてありがとうございます。

8月のピアノお届けなどに関する運送についてご案内をさせていただきます。

この度、お盆休みまた世間の状況を鑑みまして運送窓口並びに運送便について長期休暇を頂く形となりました。

■遠方便について:~8/21頃まで休止
 ※県内でのご移動等は状況により対応可能

お届けの地区によって期間中に対応できることもありますが、通常時よりお時間を頂く形となります。
すでにご注文を頂いているお客様へはめどが立ち次第、個別にご案内をさせていただきます。

また、ピアノの調整や修理などの作業は通常通り動いておりますので、
お届けに向けてご依頼のピアノの整備などは変わらず進めてまいります。

楽しみにお待ちいただいている皆様にはお時間を頂く形となり大変申しわけございません。
どうぞご理解のほどよろしくお願いいたします。

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心の窓 「お母さんの先生になる」

ゆうちゃんは学年で一番の成績である、新しく6年の担任になった女教師は、このあまり目立たないゆうちゃんが学年一番なのが不思議だった。

ゆうちゃんの親はどんなしつけをしているのだろうか、どんな塾に行かせているのだろうか、生徒の情報を見る限り母子家庭の一人っ子だからだ。

やがて家庭訪問の時期が来た。

家はおせいじにも綺麗とは言えない木造のアパートだった、母親はその日パートの仕事を休み先生の訪問を待っていた。

女教師は母親に聞いた、お子さんはどんな塾に行かせているのですか?

母親は、とんでもない私たちは母子家庭で私は3つの仕事を掛け持ちしていますが暮らして行くのが精一杯なのです、塾などとても。

それではお母さんが勉強を見てあげているのですか?

先生とんでもありません、私は子どもの頃から貧乏な家庭に育ち中学しか出ていません。

あの子が小さい頃に不慮の事故で夫とは死別しその後はあの子と二人っきりで誰にも迷惑をかけずに生きて来ました。

女教師は不思議だった、ゆうちゃんは勉強のすべてが学年でトップなのだ。

六畳一間の和室を見渡してもテレビも学習机も何がある訳でもなかった。

お母さん、ゆうちゃんが学校から帰ってからの様子を教えて貰えませんか?

はい、私のパートが終わるまでにご飯を炊いてくれています私はおかずを買って帰ります。

ゆうこはその日に学校で習った事を全部話してくれます。

科目毎にノートを見ながら私にも分かる様に分かるまで教えてくれます。

私は子どもの頃きちんと学校にも行けず、今沢山のことをゆうこが教えてくれるこの晩ご飯の時間が一番好きなのです、多分あの子も同じだと思います。

先生、これ以外に特別に変わった話しはありません。

女教師は思った、教育とは上から下に教えることじゃないんだ、教育とは興味を抱かして誰かの役に立つことを気づかすことなんだと。

幸せとはなんでしょうか?

気持ちが貧乏であるならば、どんなにお金や物があろうとも貧乏であり、気持ちに感謝があり今この時を楽しめれば本当に幸せだと思います。

ゆうちゃんのその後は人に寄り添う優しいお医者様になりました。


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日曜日のぴあの屋ドットコム 2020.7.5


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心の窓 「あの日の若いパパ」

「あの日の若いパパ」

電車や飛行機等の公共機関で、泣いている子供と困り顔の親を見かける度に思い出す場面がある。

今から18年ほど前、私にはまだ子供はおらず、全国に出張で身軽に飛び回っていた。

その日も名古屋から大阪に向かう新幹線に乗り、仕事の緊張感から解き放たれる束の間のひととき、車内販売のアイスクリームを楽しみにしていた。ところが、だ。

乗った瞬間から遠くで子供の泣く声がする。「しまった」と思った。

しかも泣き声はどんどん大きくなり、やがて車両中に響き渡った。

新聞に目を向けながらも明らかに不快な顔をする中年サラリーマン、舌打ちしながら寝た振りする大学生風の男性、私もさすがに態度には出さないものの、今の言葉で表現するなら「激しく同意」な心境だった。

見ると1歳前くらいの女の子の赤ちゃんと、若いパパの二人連れだ。

近くには育児経験のありそうな救世主になってくれる女性の姿は見当たらず、父親は泣き止まない娘を抱えデッキと車両を行き来するだけで、どう対応して良いか分からない様子だった。

迷惑にならないよう自分の胸に子供の顔をあて、なんとか寝かせ付けようとしているのか、少しでも泣き声のボリュームを小さくしようとしているのか、次第に赤ちゃんの声はかすれ、しゃっくりと嗚咽で心配になるほどだった。

ようやく大阪に着くアナウンスが聞こえた時には、今までで一番長い名古屋⇒大阪間だったと感じた。

きっと周囲も「やれやれ」と思ったに違いない。今ごろ泣き疲れて眠った子供と大きなバッグを抱えた若い父親が車両を出てゆく背中を、私は少し恨めしく見ていた。

その瞬間、まるで父親は車掌のようにクルっと振り返った。

そして、よく通る大きな声で

「皆様!お疲れのところ、またお寛ぎのところ、お騒がせしてしまい、大変申し訳ありませんでした!」

と、寝ている娘を抱えたまま頭を深々と下げたのだった。

私は予想外な光景に鳥肌が立った。

すると、一番強面なスーツ姿の男性が「みんな一緒だよ。気にするな」と慰め、次に他の男性が「このあとも頑張れよ」と励ました。そして車両内が拍手で包まれたのだった。

その同志感にすっかり乗り遅れた私は戸惑ったが、ホームを歩く親子の後ろ姿が見えなくなるまで心の中で祈り続けた。

「この先の道中は、無事に笑顔で目的地に辿り着けますように…」と。

もしかしたら、奥さんが下の子の出産で里帰りをしているのかもしれない、
祖父母に孫の顔を見せに行く途中だったかもしれない、
そして…、訳あって父子での新しい生活がスタートしたばかりだったのかもしれない。

どれも想像で答えはないが、人はどんなに迷惑をかけ失敗しても、その後の対処や誠意の見せ方で全く出来事の意味が変わるのを目の当たりにした。

「小さい子は泣いて当たり前。何が悪いの?」と開き直られれば反感もかうが、何とか最善の努力をしているその姿勢に共感と理解を得られれば、怒りさえ許しや励ましに変わる。

それは、もう顔も覚えていない若いパパから学んだ強烈な教訓だった。

あれから母親になった今の私なら、容易に想像がつく。

おむつが濡れてない?喉は渇いてない?お腹が空いてない?眠いんじゃない?熱っぽくない?等々…せめて子供の気を逸らすため微笑みかけるか、父親を経験談で安心させてあげるか、何らかの声掛けができた気がする。

あの時のお嬢さんも20歳近くなり「あの時は大変だったなぁ」と父親からしみじみ言われても「そんなの覚えてるわけないじゃん!」と笑い飛ばしているかもしれない。

そして父親は、昔の自分のような新米パパやママを見たら「大丈夫。みんなお互い様だよ」ときっと優しく微笑みかけている事だろう。

grape Award 2019 佳作
タイトル:『あの日の若いパパ』
作者:鈴木 ユミコ

(出典:https://news.headlines.auone.jp/stories/topics/story/13469616?genreid=1&subgenreid=3&articleid=13469616&cpid=10130086&news=topic&fbclid=IwAR0PIlrYLXfyWklcfdVCBZ6YU6v69roSMNNzVCGc6-XaOzmtg5MnqPynMnc)


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