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 ピアノ調律師になりたい?  
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読者からのメール (2002.7.6)

はじめまして、M・Aと言います。
HPの方を見てメールさせていただいてます。
初めてで悪いのですが、お願いがあります・・・。
私は、今高校1年生なのですが、
学校の宿題で「職業調べ」というものがあるんです。
それで、私はピアノ調律師になりたいと思っているので、

ピアノ調律師の人にインタビューをしたいと思いました。

それなので、もしよかったら協力していただけませんでしょうか。
石山さんも忙しいと思うのですが、
もしよかったらインタビューに答えてくれると嬉しいです。
お断りのメールでもいいので、返事をしてくれると嬉しいです。

急にこんなメールしてすみません。
用件のみのメールですみませんが、失礼します。



ということで、とっても嬉しいインタビュ―を受けました。


<どんな職業ですか?仕事の内容を具体的に教えてください>
ピアノのお医者さんです。ずれた音程を正しく治し弾きやすくしたり、修理したりします。

<その職業につくには、資格・学歴・採用試験などどういうことが必要ですか?>
資格は、指を広げて1オクターブが届く手の大きさを持っている人です。
ほとんどの人がOKです。学歴は関係ありません。
多くの人が調律師を養成する学校を卒業してから、各社の採用試験を受けます。
メーカー付属の学校は、そのままメーカーへ就職することが多いです。
まれに、工房に弟子入りして調律師になる人もいます。
資格は国家試験ではありません。
が、社団法人日本ピアノ調律師協会というのがありまして
ピアノ調律師としての経験が3年以上の人で、
協会の厳しい試験にパスした人だけが入会できるところがあり、
その資格を持った人は、一応安心できる一流の調律師といわれています。
あえて協会に入らない1匹狼の一流の人もいますが・・・。
協会には全国に約3000人の会員がいます。

<その職業に求められる適性(性格や能力・体力など)を教えてください>
大きなピアノを調律するときには、身長の低い人はやりにくいと思います。
女性で身長150センチ以上の人なら大丈夫だと思います。
指を広げて、鍵盤の1オクターブが届くということは、絶対に必要です。
性格は社交的で明るい人がお客様には好まれます。
昔は、職人気質で無愛想なひともそれなりにいましたが
コンサート調律以外では、やはりお客様の家にあがってする仕事が多いですから
きちんと礼儀正しく話ができることが必要でしょうね。

能力としては、とくに絶対音感が必要ということはありません。
相対音感が必要ですが、これは訓練でなんとかなるものです。
修理のときに0.01mmの寸法を指先で感じないといけないような
微妙な感覚が必要になりますので、指先の器用な人は有利です。
ピアノが弾けなくても大丈夫ですが、
弾けたほうがお客さまの要望がよく理解できますので良いと思います。

体力は、健康な人であれば特に体育会系でないといけないということはまったくありません。
一番大切なのは「ピアノが好き」だということ。これにつきますね。

<その職業に就いて嬉しかったこと・楽しかったことはなんですか?>
毎日、大好きな音楽にかかわって仕事ができるということでしょうね。
仕事が終ってからのお客さまとの音楽談義もとっても楽しいです。
また、ボロボロに痛んだピアノが、作業後に生まれ変わってキレイな音を出したとき、
最高にうれしいです。


<その職業に就いてつらかったこと・苦しかったことはなんですか?>
会社の従業員として調律をやっていたとき、やはり会社の指示に従わないといけません。
ピアノ販売のノルマは結構苦痛でしたね。
また、会社が応援しているピアニストの売れないチケットをさばくのも結構たいへんでした。
ピアノ以外雑用業務も面白く無かったです。
でも今独立してみて、それらの苦痛が自分の成長に大きく役立ったということに気づいて、
苦しかったことは全部忘れてしまいました。
あの苦痛がないと、今の私はないでしょうね。

<社会人になる前に身につけておくべきは何か、アドバイスをお願いします>
相手の目をみて話すこと。
話すのは3割、聞くのが7割。
笑顔が自然にでること。
ありがとうという感謝の言葉をたくさん使うこと。
また、心から感謝の気持ちを持てるような人になること。
人から、ありがとうと言ってもらえる人間になること。
お辞儀をするときは、歩いているときでも必ず立ち止まってきちんと頭を下げること。
人を見送るときには、相手が見えなくなるまで見送ること
(たとえ相手が振り向かなくても・・)
なにかをしてもらったときには、お礼のメールや手紙を出す習慣をつけること。
仕事に限らず何事も、「すぐやる」習慣をつけること。
「あとでやる」時は、いつそれをやるのかという期限をその場で決めること。
まとめていくつかの仕事が来たときには、その場で優先順位を決めてこなすように心がけること。

自分の姿を善意の心をもった第3者の目からみたつもりで・・・

  相手の話を自分が正しい基準で聞いているか考えること。
  自分が正しいことを語っているか、考えるクセをつけること。
  相手の悪いところよりも、よいところを正しく見るクセをつけること。
  不平・不満・グチが出そうになったときに、なぜ自分はそう思うのかを考えるクセをつけること。
  1日の終わりには、今日1日、自分が”思ったこと、行ったこと”と反省すること。

  そうするとかならず、自分が絶対に正しいと思い込んで、
  相手を自分と同じ基準にさせようとする、ジコチュウの自分が見えてきます。
  それを、相手の立場で物を考えることができるようになったとき、
  不思議と多くの友人、上司、お客様があなたの周りに集まってきます。
  仕事のできる人は、物事に不満をもちませんし、グチはいいません。

説教じみたアドバイスになってしまいましたが、調律師を目指したいという方だからこそ、

是非仕事や人生で成功して欲しいという気持ちで、細かく書かせていただきました。
追加の質問などありましたら、ご遠慮なくおっしゃってくださいね。


M・Aさんからのお返事です

     質問のお答え、ありがとうございました。

    たくさん書いてくれていたので、本当に嬉しかったです!
    特に最後の質問の「社会人になる前に身につけておくべきことのアドバイス」は
    本当にためになりました。
    3つ目の質問の「求められる適性(性格や能力・体力など)」のお答えの、
    「身長の低いひとはやりにくいと思います。」を読んだときには
    「やばい・・・。」と思ってしまいましたが、
    150以上とかいてあるのを見て、「ギリギリだぁ!」と喜びました(笑)
    私は154センチしかないので・・・(汗)
    ギリギリですけど、頑張りたいと思います!

    本当に、協力してくださってありがとうございました。
    「ピアノ調律師」の仕事を目指して、頑張っていこうとお思います。
    石山さんも、これからも頑張ってください。
    陰ながら応援させていただきます!

    本当にありがとうございました。
    失礼します。


HP掲載の許可を頂いたM・Aさんへ、私からのお礼のメールです。

    ありがとうございました。
    きっかけを与えてくださり、新しいコーナーができました。
    これから、技術を身に付けていくのに山あり谷あり、
    いろいろな試練がくると思いますが、
    その試練の一つ一つが全部、「意味のあること」なんですよ。
    試練が来なかった人で、物事に成功した人は一人もいません。
    困難を乗り越える勇気をもって、頑張ってください。
    ただ、好きな仕事を目指すわけですから、
    困難を困難と感じずに通り過ぎていく可能性も大です・・・。
    頑張ってください。

    本当に、ありがとうございました。
    このご縁に感謝します。



以上、調律師を目指したい皆様

参考になりましたか?

もっと詳しいことを知りたい方はメールでお知らせくださいね。


ココから先は「調律師」には関係ありませんが、
掲示板でちょっと話題になりましたので次ページに記載します。

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