お父さんのおべんとう箱
おとうさんがびょうきでなくなってから三年、
ぼくは小学一年生になりました。
おとうさんにほうこくがあります。
きっとみてくれているとおもうけど、
ぼくはおとうさんのおべんとうばこをかりました。
ぼくは、きのうのことをおもいだすたびにむねがドキドキします。
ぼくのおべんとうばこと はしがあたって、すてきなおとがきこえました。
きのうのおべんとうは、とくべつでした。
まだ十じだというのに、おべんとうのことばかりかんがえてしまいました。
なぜきのうのおべんとうがとくべつかというと、
それはおとうさんのおべんとうばこをはじめてつかったからです。
おとうさんがいなくなって、ぼくはとてもさみしくてかなしかったです。
おとうさんのおしごとは、てんぷらやさんでした。
おとうさんのあげたてんぷらはせかい一おいしかったです。
ぼくがたべにいくと、いつもこっそり、
ぼくだけにぼくの大すきなエビのてんぷらをたくさんあげてくれました。
そんなとき、ぼくはなんだかぼくだけが
とくべつなきがしてとてもうれしかったです。
あれからたくさんたべて空手もがんばっているので
いままでつかっていたおべんとうばこではたりなくなってきました。
「大きいおべんとうにしてほしい」
とぼくがいうと、おかあさんが とだなのおくから
おとうさんがいつもしごとのときにもっていっていた
おべんとうばこを出してきてくれました。
「ちょっとゆうくんには、大きすぎるけどたべれるかな」
といいました。
でもぼくはおとうさんのおべんとうばこをつかわせてもらうことになったのです。
そしてあさからまちにまったおべんとうのじかん。
ぼくはぜんぶたべることができました。
たべたらなんだかおとうさんみたいに、つよくてやさしい人になれたきがして、
おとうさんにあいたくなりました。
いまおもいだしてもドキドキするくらいうれしくて
おいしいとくべつなおべんとうでした。
もし、かみさまにおねがいができるなら、
もういちどおとうさんと、おかあさんと、ぼくといもうとと
みんなでくらしたいです。
でもおとうさんは、いつも空の上からぼくたちをみまもってくれています。
おとうさんがいなくて、さみしいけれど、
ぼくがかぞくの中で一人の男の子だから、
おとうさんのかわりに、おかあさんといもうとをまもっていきます。
おとうさんのおべんとうばこでしっかりごはんをたべて、
もっともっとつよくて、やさしい男の子になります。
おとうさん、おべんとうばこをかしてくれてありがとうございます。
第4回「いつもありがとう」作文コンクール最優秀賞
広島市立中島小学校1年 片山悠貴徳(ゆきのり)君(7)
(朝日学生新聞社主催 シナネングループ共催)