❤天国のあなたへ❤
娘を背に日の丸の小旗をふって
あなたを見送ってから
もう半世紀がすぎてしまいました
たくましいあなたの腕に抱かれたのは
ほんのつかの間でした
三十二歳で英霊となって
天国に行ってしまったあなたは
今どうしていますか
私も宇宙船に乗って
あなたのおそばにいきたい
あなたは三十二歳の青年
私は傘寿を迎える年です
おそばに行った時
おまえはどこのひとだ
なんて言わないでね
よく来たと言って
あの頃のように
寄り添って座らせて下さいね
お逢いしたら
娘夫婦のこと
孫のこと
また、過ぎし日のあれこれを話し
思いっきり、甘えてみたい
あなたは優しく
そうかそうかとうなづきながら
慰め、
よくがんばったねと
ほめて下さいね
そして、そちらの「きみまち阪」に
つれて行ってもらいたい
春 あでやかな桜花
夏 なまめかしい新緑
秋 ようえんなもみじ
冬 清らかな雪模様など
四季のうつろいのなかを
二人手をつないで歩いてみたい
私はお別れしてからずっと
あなたを思いつづけ
愛情を支えにして生きて参りました
もう一度あなたの腕に抱かれ
ねむりたいものです
力いっぱい抱きしめて
絶対に離さないでくださいね
秋田県 80歳 T・Yさん
『日本一心のこもった恋文』より