ピグマリオン効果
ピグマリオン効果とは、ギリシャ神話に由来して名付けられた心理効果の一つです。
ローゼンタールの実験(注:1)
アメリカのある小学校で簡単なテストをして、AとBの二つのグループに分けました。
そして、ローゼンタールは「Aグループの生徒達は必ず学力が伸びる」といいました。
8ヶ月後、もう一度テストをしてみると、Aグループの成績の伸びはBグループよりも
知能指数で0.9ヵ年、労利意的判断力は1年以上伸びていました。
小学校の先生達は、簡単なテストだけでどうして学力が伸びると分かったか、
びっくりして尋ねました。
「答案をうちわであおいで向こうへ飛んだのをAグループ、
残ったのをBグループと分けただけなんです」と彼らは答えました。
つまり適当に分けただけというわけです。
これは、たとえばAグループの子供に先生が勉強を教えていて分からなかっても、
先生の意識の中に
「この子はAグループなんだから出来るはずだ」というものがあって、
もう一度分かるように教えなおしたりします。
逆にBグループの子には、分からなければ「それでは次」といってしまうのです。
また、Aグループの子供は「自分はAグループなんだから期待されている、出来るはずだ」
という意識が働いてさらに勉強するようになったのです。
(注:1 参考文献:かすが幼稚園 園長 米川安宜著 「これだけは知っておきたい 子育てのヒント」)
このお話を始め、素晴らしい内容の本でしたので、ホームページへの掲載の許可をもらうためにかすが幼稚園にお電話しました。
あいにく執筆者である園長先生が不在でしたので、また後日お電話しすればいいと思っていたところ、
わざわざお電話をいただき気持ちよく掲載のお許しもいただいて、とっても感激してしまいました。
かすが幼稚園は心の教育、そして無限の可能性を秘めた子供達の潜在能力を引き出す教育に力をいれておられます。
このピグマリオン効果は、親や教育者が「この子にはできない」「3歳児にはムリだ」というような、
マイナスの固定観念や先入観を持つことの危険性を訴えています。
子供が「できない、やってやって」といってきても「きっとできるよ、やってみよう」という励ましを何度も繰り返すと、
不思議と積極的になり、なんでもできるようになっていくのです。
ピアノのレッスンでも同じでしょうね。
そして、この本でもやはり「誉めること」の重要性が書かれています。
子供が一番イヤのことは「叱られること」ではなく、「無視されること」「認められないこと」なのです。
無視されないために、誉められることの少ない子供は、わざと叱られるような悪いことをして注意を引こうとしてしまいます。
暴走族だってそうですね。大きな音を出して、皆から注目を浴びたいのです。
でもこのようなやんちゃな暴走族でも、一人になると心のやさしい人は多いようです。
新聞にありました。あの花火大会での歩道橋の事故、率先してけがをした人たちを助けていたのは、茶パツの若者たちでした。
阪神大震災で多くの建物が倒れて自分のことで精一杯の時に、
下敷きになった近所のおばあさんを大声で励まして助けていたのも、
いつも疎ましく思われていた不良と言われていた若者だったのです・・・。
人間は、「認められたい、賞賛を渇望している動物」なのです。
■ある掲示板に掲載されていた書き込みを転載します。(2005.2)
「障害のある弟を守ってくれた少年」
私の弟が28歳で死にました。
脳疾患もちで、合併症で15歳まで生きられない、20歳まで生きられないと、
お医者さんに言われ続けてよくぞ28歳まで生きたものです。
5年生のとき、ムリを言って普通学級に編入させていただいたとき、
弟にケイタ君という友達ができました。
家庭に事情のあるケイタ君は、5年生ですでにゲームセンターで
タバコをすっているような早熟な不良でしたが、
なぜか弟の面倒をとてもよく見てくれました。
子供は残酷ですから、クラスの中に呼吸器を引きずったクラッチ付きの子に、
決して寛容ではありません。
弟は男の子からも女の子からも陰湿なことをされました。
だけどそれは、ケイタ君がそばに居ないときだけでした。
好奇な目で見られていた弟に、恐怖の目で見られていたケイタ君は、
だれよりも(担任の先生よりも)優しく、いつもそばにいてくれました。
「ケイタがね、“いじめられたらすぐにオレに言え、
おまえはオレの舎弟だからな”だって。
でも、舎弟ってなんだろうね、子分のことかな?」
弟はいつも家に帰ると母と私にそういっていました。
修学旅行に行く途中で、弟がそそうをしてしまったとき、
いっせいにはやし立てた同級生を尻目に、
ケイタ君は下の世話さえしてくれたのです。
小学校6年生の男の子がです。
卒業した弟が養護学校に入ると、
ケイタ君は一層気合の入った不良になってましたが、
それでもバザーに来てくれて、フォークダンスの参加さえもしてくれました。
なにをやったのか、16才の時にケイタ君は警察に連れて行かれ、
ウワサでは少年院を出て、そのまま東京へ行ってしまったと聞きましたが、
ケイタ君とはそれっきりでした。
弟が死んだとき、私も両親も、悲しみより
「やっと楽になれたね、よく28まで生きたね」と
落ち着いた気持ちでその事実を受け入れましたが、
弟の身の回りの整理をしていて、養護学校時代の写真の中に、
弟の隣に寄り添い、腕を組みカメラにガンを飛ばす少年を見つけたとき、
涙が出てきてしまいました。
ケイタ君、今どこに居るのですか? 幸せにしていますか?。。。。
●本のご紹介をさせていただきます。
「これだけは知っておきたい子育てのヒント」
著者 米川安宜 頒布価格 ¥1000(送料込み)
平成13年7月3日初版発行
連絡先:かすが幼稚園 京都市右京区 http://kasuga.ed.jp/
(かすがようちえんのホームページからでも注文できます。最新情報の部分を開いてください)