ピアノ工場見学体験記 by りいの
見学に伺ったカワイグランドピアノ工場 は、浜松市の隣り、竜洋町にあります。
地図で見ると、浜松市内からは結構距離がありそう。
「浜松から行くとすると、タクシーでどれ位かかるんだろう?」と、ちょっと不安に思っていたら、
「天竜川までバスで来て、そこからはタクシーで行くといいですよ」
とアドバイスをいただき、ひと安心。
浜松駅前から竜洋方面へ向かうバスに揺られ、30分。
天竜川が見えてきました。
「おっ、いよいよだ!」と意気込んでバスを降りたところまではよかった。
ところが、ぐるっと辺りを見回しても、あるはずのタクシー会社が見あたらない。
「た・・・大変だぁ!」
浜松郊外では、まずタクシーは拾えないと聞いていたので、大あわて。
同じバス停で降りた人を追いかけていき、タクシー会社の場所を教えてもらい、
その方向へ歩いていくと「タクシー待合所」と書かれた建物を発見。
そこには、休憩中の運転手さんがひとり・・・ホッ。
すぐにタクシーを出して下さったので、いよいよ工場へGO!
途中、「カワイ竜洋工場はこちら→」という看板を見つけました。
のどかな畑の風景が続く中を、車は工場目指して走り抜け・・・と、
右手に背の高い樹木が見えてきて、「森の中の緑の工房」竜洋工場に到着。
風にさやさやと揺れる緑にすがすがしさを感じつつタクシーを降りると、
受付の方が笑顔で迎えて下さりました。
建物の中には音楽が流れていて、良い雰囲気。
応接室でドキドキしつつ待っていると、本日案内して下さる担当の方登場!
ごあいさつのあと、ピアノのこと、工場のことを中心にお話を伺いました。
竜洋工場は敷地の50%が緑地化されており、
人と環境にやさしい企業を目指していることが評価されて、
ピアノメーカーとして世界で初めてISO14001規格を取得したそうです。
グランドピアノ専用工場として歩み始めて20年。たくさんのピアノを作り出してきた
歴史とともに、当時植樹したばかりだった木々(1万5千本!)も、
今や立派な樹木に成長したそうです。
お話のあと、ビデオを見せていただき、ピアノ歴史資料室 へ。
そこには、ピアノを作る時に使うノコギリやカンナが展示されており、
まるで大工さんの道具を見ているようでした。
ハープシコード・クリストフォリのピアノ・ハンマーフリューゲルの復元品、
現代のピアノも並んでおり、音のしくみにそれぞれの特徴があって、
ピアノの進化がよくわかりました。
そしてもう1台、ひときわ目を引く年代もののピアノが・・・
それは、カワイのグランドピアノ第1号でした。
このピアノ、73才になるそうですが、「えええっ!?」と思うくらい良い音なので、
びっくり!しました。
いよいよ工場へ。
すご〜い!広〜い!
まさに「ピアノ製作現場」という感じ。
ピアノが作られていく過程を、わかりやすく説明していただきながら見学。
それにしても、ものすごい数の部品!たくさんの工程!
どれひとつ欠けても、ピアノはできないのですね。
そのことのスゴさに感動!
そして、職人さんが真剣に黙々と作業に打ちこんでいる姿に、さらに感動!
側板の研摩、フレームの取り付け、張弦、アクションの組み立て、
アクションユニットの調整、調律、整音・・・などなど、どれもスゴイ職人技です。
ハンマーを安定させるための自動打鍵機は、一斉に忙しく動いていました。
最終仕上げのところでは、きれいに外装を磨かれて、ピアノの出来あがり!
検品室 には、試弾を待つピアノ達がズラリ。
ここで、自分にとっての「とびっきりの1台」を選ぶことが出来るのですね。
そして、これから出荷されていくピアノがズラーッと並んでいる光景は、圧巻!
その中に1台、クリスタルグランドがありました。
よく、テレビでミュージシャンが弾き語りしている、あの透明グランドピアノです。
しっかりと個性を放っていました。
工場をひと通り見せていただいたあとは、研究所へ。
まず、無響室 。
私が伺った時は実験をしていなかったので、見学することができました。
吸音くさびで取り囲まれた部屋の中(空中に浮いた状態)にネットが張ってあり、
その上にピアノを載せて実験するのだそうです。
私もネットの上に乗ってみましたが、足元がアミアミなので、落っこちそうで怖かったです・・・。
とてつもなく厚いドア(2メートルくらいありそう)にも、びっくり!
全く音が反射しない部屋なので、耳はふさがれた感じになり、
自分の声も手をたたいた音も全く響かないので、とても不思議な感じがしました。
次は、試聴室 へ。
そこには、もうすぐコンサートホールへ納品されるフルコンサートグランドピアノ
「EX」がありました。
EXの深みのある素晴らしい響きに、大感動!!
そして、かがんで下からピアノをのぞいてみたりもして(支柱の太さにびっくり!)、
いろいろな角度からEXの素晴らしさを感じることができました。
Xジャパンのヨシキモデル(鍵盤蓋に「Yoshiki」と刻まれている!)、
200万台記念ピアノなども展示されており、いろいろなピアノに会うことが出来ました。
そういえば・・・
見学している時、職人さんと目が合うことがあったのですが、
みなさんお仕事お忙しいのに、会釈して下さったんですよ。
それがとても嬉しかったです。
ピアノはやっぱり「人」が作っているのですね。
人の心がいっぱい詰まったピアノ、大切に弾き続けたいと思います・・・。
りいのさんはピアノが大好きで、浜松への仕事のついでにピアノの工場の見学に行かれ、
大感激して帰って来られました。ホントに超感動の半日だったようです。
その興奮冷めやらぬうちに、ぜひ皆さんにお伝えしていただけないかとお願いをして、
今回体験記を書いていただきました。
皆様も、浜松へ旅行される機会がありましたら、ピアノメーカーの工場見学をされたら
いかがでしょうか。自分のピアノがもっと好きになると思いますよ・・・。